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【7日目】
教えられたのは武蔵境の近くにある手狭なバーだった。
琴子は指定されたとおり、午後の4時ごろ訪れた。まだ開店するには早い時刻だ。
陽の傾きはだいぶ早くなってきたけれど、暑さはまだ地面にしがみついている。当 分、苦しめられることになりそうだ。
バーはアパートの一階を改造したもので、いくつかの飲み屋が軒を並べている。湯 沢桜子の店もそのうちのひとつだ。
外では『雪牡丹』の文字の入った看板が、電源を抜かれ暑そうに放置されている。
ドアはアパートに使われているもので、看板がなければ水商売の店だとは誰も気 づかないだろう。それが今は開け放してある。
桜子はカウンターの中でグラスを磨いていた。
カウンターの他には小さなテーブルが2つと、カラオケの設備。客が十人入るかどう かも怪しいくらい狭い。
琴子がドアの前に立つと、
「おや」
と制服姿を見咎める。
「いいのかい、そんな格好で」
「信用されないかと思いまして」
桜子はじろりとこちらを見ると、
「ふうん…」
グラスを棚に戻してゆく。 「いらない苦労をしてるみたいだねえ」 [READ MORE...]
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